カーナビを長く使い続けていると収録されていない道路と遭遇します。
地図データを更新することで道路は追加されるのですが、どうしても一万円前後の費用がかかってしまうため更新を迷います。
そんなときは思い切ってスマホのマップを利用できるディスプレイオーディオを導入してみではどうでしょう?
iPhoneやAndroidと接続することで対応アプリを使うことが可能なディスプレイオーディオですが、マップアプリを使うことでカーナビの代用が可能です。
しかし本当に今まで使ってきたカーナビの代替品となるのでしょうか?
ディスプレイオーディオは国産車や輸入車を問わず、カーメーカーも純正採用していることで一気に普及が進みました。
車種によってはディスプレイオーディオが標準装備になっていて、カーナビの選択すらできない車種もあります。
でもディスプレイオーディオって本当に役に立つの?
そんな疑問を解決するため、ディスプレイオーディオをつかってわかった「良いところ」「悪いところ」をまとめてみました。
ディスプレイオーディオはスマホと連動するオーディオ
まずはディスプレイオーディオというジャンルについてご説明します。
ディスプレイオーディオは古くから存在していて、当時は「ナビは不要だけどバックカメラが欲しい」とか、「ナビが不要だけどテレビやDVDが見たい」という用途に応える製品でした。
ラジオや音楽を再生するオーディオに、映像を映すモニターを組み合わせた商品の総称がディスプレイオーディオであり、カーナビゲーション機能を搭載していないことが特徴です。
そんなディスプレイオーディオに画期的な機能が搭載されました。
スマートフォンを接続することでスマートフォンと連携することができるリンク機能です。
Androidであれば「Androidオート」、iOSであれば「Apple Car Play」というサービスでカーオーディオとのリンク機能を実現しています。
「Androidオート」や「appleCarPlay」は自動車を運転中でもスマートフォンを利用できるように提供しているサービスなのです。
(このサービスを利用して、今後は車そのものとつながるような事まで想定しているようです。)
どちらのサービスでも共通していることですが、スマートフォンアプリをディスプレイオーディオ側で起動やタッチ操作をすることが可能になっており、スマートフォンの機能を運転中でも安全使うことができるようになっています。
そのためディスプレイオーディオそのものにはナビが搭載されていませんが、スマートフォンのカーナビアプリを利用する事でカーナビを利用する事ができるようになりました。
そのためスマートフォン側がアップグレードすることでナビも進化することになります。
この記事で紹介するディスプレイオーディオはすべてスマホ連動型のものであり、AndroidオートかappleCarPlayのどちらかを利用できる製品を指しています。
車内でスマートフォンのアプリを使える
スマートフォン連携機能について、「Androidオート」も「Apple Car Play」も同じようなコンセプトでサービスが提供されています。
基本的にはボイスコマンドをメインにした画面タッチと注視を必要としない操作系になっていることが特徴で、これは自動車を運転するのに邪魔にならないように配慮されているからです。
たとえばappleCarPlayではメッセージを送信することができます。
送信する場合は画面にキーボードは表示されず、音声を認識することで自動的にテキストメッセージに変換されます。
またメッセージを受信した場合も内容は表示されずに音声アシスタントがメッセージを読上げてくれます。
(音声アシスタントはAndroidならGoogleが、iPhoneならSiriが対応してくれます。)
ここで注意が必要なのですが、現状でAndroidはメッセージを送受信するようなアプリはメッセージアプリのみで、LINEは対応していません。
音声認識はGoogleの得意分野なのでこの点は残念なところです。
テキストへの変換に関してはしゃべりかたで変換精度が変わるわけですが、実際に試して見た感じ認識率は悪くありませんでした。
そのほかにナビの行き先も音声で決定できますので車での使用感はかなり便利であることは間違いなく、一度体験してしまうとコレ無しでは不便に感じると思います。
Androidオートは制限が多い傾向あり
iPhoneとAndroidをつかって双方のサービスで使用感を試してみました。
私が気分で使い分けている2機種なので、インストールしているアプリは双方同じような構成となっており比較にうってつけです。
比較すると「AppleCarPlay」の方が対応アプリが多く、より便利に使えます。
「Androidオート」は当初Google製のアプリのみ利用できる状況でしたが、今日では対応アプリも増えてきています。
しかし「Androidオート」は運転の邪魔になりそうなアプリは使えない傾向があります。
特に車と関係があるナビアプリですが、どちらも基本のマップアプリ以外にも「Yahoo!カーナビ」「COCCHi」「moviLink」などを利用する事ができました。
スマートフォンアプリで言えば「Googleマップ」が優秀なので、これをつかえば問題ないと言えるレベルに達していますが、車での利用については少し改善が残されているように思います。
トヨタ自動車が提供する「moviLink」はトヨタ純正ナビゲーションに、パイオニアが提供する「COCCHi」はパイオニア汎用ナビの特徴を持ったナビアプリです。
どちらもカーナビ製作に長けたメーカーなので、いままでカーナビを利用してきたユーザーが違和感なく使う事ができる安定のアプリでした。
一番の魅力はナビゲーションの情報鮮度
スマートフォンを利用する上で誰しもが便利に思っていること、それは「情報の鮮度」ではないでしょうか?
常に新しい情報を取得することができるのは通信機器であるスマートフォンの圧倒的強みで、それはカーナビアプリでも同様のメリットを提供してくれます。
道路データはいつ変わったのかわからないくらいに更新されていますし、施設を検索しても新規オープンした店だから検索結果に出てこないなんてことはまずありません。
目的地を検索して、その目的地まで移動するのがカーナビの役目だと考えると情報が常に新しいスマートフォンアプリは本当に頼もしく、カーナビが不要になると言われても納得してしまいます。
主要道路じゃなくても渋滞を表示したGoogleマップ
私がスマートフォンのナビに魅力を感じる一番の理由は「渋滞情報」です。
スマホは常にインターネットに接続しているので、使っていても渋滞情報の鮮度があきらかに違うと感じています。
特にGoogleマップの渋滞情報はスゴイの一言です。
情報の取得方法についてはっきりと説明はされていませんが、どうやらユーザーが利用しているAndroid端末の移動情報を利用しているようです。
一般のカーナビは日本道路交通情報センターが収集端末からデータを吸い上げたVICSデータを利用しますが、こちらは道路に設置された機器やカーナビから取得した情報を元に渋滞情報を提供しています。
どちらも一長一短あるのですが、郊外道路でのちょっとした道路工事渋滞(といっても信号一回待ちくらい)でも赤色の渋滞発生を表示したGoogleマップの渋滞情報を見て、スゴイ時代になったと感心しました。
その件があってからスマホの渋滞情報についてはかなり信頼できる情報として利用しているわけですが、Googleマップのルートに関しては時間帯によって案内するルートが大きく変化します。
抜け道を研究している自分の目から見てもかなり効率的なルートを案内するので、Googleマップのルート選定は素晴らしいの一言です。
いつ更新されてるのかわからないマップデータ
車載カーナビあるあるですが、いつの間にか増えてる新しい道路。
おそらく近道であろう新道路に飛び込めず、ナビの案内のまま旧道に飛び込んだ経験をしたドライバーは多いのではないでしょうか。
地図データの提供を本体メモリーから行っている関係上、車載カーナビは地図データの更新を定期的に実施しなくてはなりません。
ほとんどは有償のサービスであり、1万円前後の費用が必要になります。
しかしスマホの地図データは都度ネットからダウンロードしていますので、「新しい道路が載っていない!」という事態に遭遇することはほぼ無いでしょう。
表示されている地図は常に最新情報だということですね。
この情報鮮度に関して、車載ナビはどんなに頑張っても太刀打ちできません。
そんなわけでスマホの普及と共に車載カーナビの需要は減っており、スマートフォンのナビアプリで代用する人が増えてきました。
そんな情報鮮度にこだわるあなたにもオススメできるのが「ディスプレイオーディオ」というわけです。
ナビアプリは重い?バッテリーと発熱について
スマホのナビアプリを使っていて気になるのは発熱とバッテリー消費です。
ナビアプリは思いのほか負荷の大きいアプリであり、ルート案内という機能を提供するにはいくつもの処理を同時にこなさなくてはいけません。
・現在地や移動速度をGPSやGセンサーを利用して測位する。
・表示するマップのデータをダウンロードする。
・目的地までのルートを算出、推奨ルートと現在地が合っているか判定する。
・渋滞情報を参考に、より良いルートを案内する。
・ドライバーに知らせる情報を画面に表示する。
これらを同時に行うわけですから、スマホの負荷は大きくてバッテリー消費や発熱をともなうのは仕方ないことです。
さらに音楽再生や動画再生を同時に行うわけで、スマホ側の負荷はナビを使用しているよりさらに増大します。
ディスプレイオーディオを使用していたとしてもナビの処理はスマホ側であることは変わりませんので発熱はさけられませんが、ディスプレイオーディオからの給電でバッテリーに給電(充電)していますので、目的地についたらスマホのバッテリーが半分しかないという事態がさけられるのはとても便利です。
レジャーでナビを利用するときも安心してナビを使うことができますよ。
ただこの発熱問題はスマホの性能に左右される問題でもあります。
最新モデルで性能を持て余しているようなスマホなら、ナビゲーションで道案内など負担にもならないはずです。
バッテリーの劣化やスマホへのダメージは?
スマホの発熱やバッテリーの消費が多いと書きましたが、スマホへのダメージを心配される方もいらっしゃるでしょう。
負荷の感覚的にはスマホで3Dゲームをしている状況に近いと感じています。
スマホを使う上で想定された使い方なので故障しやすくなるとかの心配は不要かと思いますが、バッテリーへのダメージは多少なりともありそうだと私は思っています。
なのでどれくらいの頻度でナビゲーション機能を使うかによって、ディスプレイオーディオを選ぶか、専用のカーナビを選ぶかを決定すると良いでしょう。
なんとAppleCarPlayを搭載したナビゲーション「DENSO-TEN AVN-HS01F」も存在します。
価格は高めですが、状況に応じてスマホナビを利用する事も可能といういいとこ取りの商品です。
時々の週末ドライブにカーナビを使うという使い方であればディスプレイオーディオ。
日常的に行き先をナビで設定しているのであればカーナビを選ぶ方がよさそうです。
自動車という厳しい環境で使用することを想定したカーナビ。
スマホほど多機能ではありませんが、専用機だけにルート案内ではほぼ完璧な性能を有しています。
まだまだスマホのカーナビアプリでは追いつけないところがありますね。
ディスプレイオーディオのオススメ機種
「Androidオート」や「AppleCarPlay」でできることをカンタンに紹介しましたが、これらの機能を搭載したディスプレイオーディオをご紹介致します。
機種によって特徴がありますが、スマホ連携機能については基本的に変わりありません。
ここで紹介しているディスプレイオーディオはすべて地上デジタルチューナー非搭載モデルです。
ここで紹介している機種はすべて2DIN取付ができる汎用オーディオで、取付には車種別の専用キットが必要になることがあります。
コスパNo.1!ケンウッド「DDX5020S」
個人的にコスパNo.1商品だと思っているディスプレイオーディオで、「Androidオート」「AppleCarPlay」に対応しています。
地デジは非搭載ですがDVDプレイヤーつきなのでDVDを視聴することが可能ですし、バックカメラを接続することもできるので安全に駐車ができます。
外部入力はAVミニプラグのアナログ1系統を装備。
残念ながらHDMIは非搭載ですが、そのぶん価格は安価な設定になっています。
欠点はステアリングリモコンに対応していないことですが、電源ハーネスにステアリングリモコン線が用意されており、非公式ですがステリモ対応が可能です。(株式会社ガレイラさんのアルコンが対応しています。)
YouTubeも見ることができる!パイオニア「DMH-SZ700」
通信コンテンツに特化したオーディオで、本体に搭載されたブラウザを利用してYouTubeを視聴することが可能なディスプレイオーディオです。
DVD/CDデッキを搭載しない「メカレス」オーディオであることが特徴で、Wi-Fi環境がないと「ラジオ」と「USBオーディオ」もしくは「Bluetooth」しか楽しめません。
HDMI入力を備えていますので、スマホとのミラーリングやAmazonファイアスティックを使うこともできる拡張性を備えています。
同社が発売するWi-Fiルーター「DCT-WR100D」を使ってネット動画を存分に楽しむことができるのが本製品の特徴で、「テレビやDVDは見ないがYouTubeは見たい!」というユーザーにはストライクな商品と言えるでしょう。
音質にもこだわっているモデルなので、良い音でデジタルメディアを楽しむ事ができます。
拡張性ではステアリングリモコンやバックカメラにも対応しています。
面白いのはGPSアンテナと車速信号を取得できること。
スマホのナビアプリによっては外部のセンサーとして利用できるとのことで、トンネルの中や市街地などスマホのGPSが苦手としている状況下で精度の向上が期待できます。
しかし利用できるアプリが限定されているとのことで、「AppleCarPlay」のマップで試してみたかんじではトンネル内の移動は継続されましたので効果ありかと思います。
さらにWi-Fiルーターがあれば本機をフルで楽しめますが、テザリングやインターネット共有機能でも本機のブラウザを利用することが可能です。
パイオニア「DMH-SZ700」には大画面フローティングタイプも存在しています。
スマホとのワイヤレス接続に対応!「DMH-SZ500」
先に説明した「DMH-SZ700」の後に発売されたモデルです。
最大の特徴はスマートフォンとのワイヤレス接続に対応したことで、appleCarPlayやAndroidオートを利用するためのUSB接続が不要になりました。
さらに専用アプリ「WebLink」を使う事でスマートフォンの画面を映し出すことができるうえにタッチ操作も可能になっています。
このアプリを使うことでスマートフォンのYouTube再生を画面に映すこともできます。
※アプリ・スマートフォン側で可否が決定しますので対応情報をご確認ください。
スマートフォンの接続に別途ワイヤレスアダプターが不要になったことで利便性がアップしていますが、型番が示すとおり一部機能はダウングレードされています。
痛手なのはHDMI入力が無くなってしまったことです。
その他リモコンが付属しなくなったり、オーディオの機能にも無くなった機能がいくつかありました。
あまり使われない機能を省いて使い勝手を向上させたディスプレイオーディオですね。
「DMH-SZ700」との価格差は無くなってきているので、必要とする機能でえらぶ必要がありそうです。
こちらのモデルも大画面フローティングタイプが存在していますが、なぜかワイヤレス機能が無くなってしまいます。
appleCarPlayとAndroidオートを使う時は有線接続です。
「WebLink」には対応しているので、大画面で動画を見るには最適な選択でしょう。
フルデジタルアンプで高音質!アルパイン「DA7Z」
音質にとことんこだわった「フルデジタルアンプ」を搭載したディスプレイオーディオで、車種毎に音質設定データを用意するなどコダワリの製品です。
パイオニアと同様にDVDデッキを搭載しないメカレスモデルですが、その特徴を生かして音質向上に機能を全振りした高音質モデルとなっています。
ハイレゾ音源を再生する、サブスクの高レート音源を再生するなど、とにかく良い音で音楽を楽しみたい人には最適の選択肢になるはずです。
高画質WXGA液晶とHDMI入力を搭載していますので、ミラーリングやAmazonファイアスティックを接続する使い方でもキレイな映像を楽しむ事が可能です。
上位モデルには9型や11型のフローティングモデルを用意しているのも特徴です。
(フローティングとは、大型画面を本体手前にセットすることで大画面化を実現した方式)
もちろんステアリングリモコンやバックカメラにも対応しており、アルパイン製の後席モニターともHDMI接続が可能になるなど、アルパイン製品ならではの拡張性を備えます。
パイオニアと同様にアルパインの製品もGPSアンテナと車速センサー信号を取得可能で、ナビアプリの精度を向上させることが可能になっています。(利用の可否はアプリによって違いがあります。)
独自機能としては「AppleCarPlay」を利用する際にスマホとワイヤレス接続で利用することが可能になっています。スマホとのUSB接続は毎回行う作業なので、ワイヤレス化で手間が省けるのは大きいですね。
自分のスマホと車がリンクする新感覚
スマートフォンとリンクしてアプリを利用することができるディスプレイオーディオ。
まだまだ進化の途中といったところですが、今後はもっと車とスマホが機能を共有する時代がやってきそうです。
自動車メーカーが採用する機能すべてを搭載することはできませんが、後付けのオーディオにスマホ連携ができるディスプレイオーディオを取付することでスマホを利用したネットワークサービスを車で利用できるのは便利で新しい感覚です。
スマホやアプリの進化にあわせて機能がアップデートされていくので、地図のアップデートをせずに古いナビを使っていたユーザーにはとても便利に感じるでしょう。
音声アシスタント機能もそのまま利用できるので、声でやりたいことができる便利さもまた安全運転にも一役買ってくれることでしょう。
カーナビと違って買いやすい価格である事もまた魅力です。
とことん安価にするも良し、高音質モデルで最高の音楽を楽しむも良し。
ディスプレイオーディオで新しい体験ができるのは間違いなさそうです。
ただし、毎日のようにルートガイドをするユーザーには普通のカーナビをおすすめしたい。
ナビゲーションのおもてなし度に関して、スマホのナビアプリはまだまだカーナビのレベルには達していないと私は感じました。
これからのディスプレイオーディオの進化に期待したいと思います。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。